宮城県仙台市青葉区愛子の内科・脳神経内科

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高血圧

高血圧(健診で血圧が引っかかった)

1. 高血圧ってなに?

高血圧

 血圧とは、心臓から全身に送り出された血液が血管の壁を押すときの圧力のことで、心臓が縮んだり広がったりすることで発生します。血圧の値は、心臓から押し出される血液量(心拍出量)と血管の収縮のしなやかさ(血管抵抗)によって決まります。高血圧は、血圧の値のうち上の血圧が140mmHg以上の場合、または下の血圧が90mmHg以上の場合に診断されます。

 高血圧が続くと血管が痛んで動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞、腎臓病を発症したり、血管が破裂して脳出血や大動脈瘤破裂といった病気に繋がる事があります。高血圧は日本で4300万人の患者さんがいる最も多い生活習慣病です。脳卒中や心臓病・腎臓病の原因となるため、無症状のうちにしっかりと治療しておく事が大事です。

 診断はわが国では一般的に診療所や病院で測る「診察室血圧」、自宅で測る「家庭血圧」を基にして診断します。診察室血圧が140/90mmHg以上、数回の家庭血圧の平均が135/85mmHg以上で高血圧と診断します。
 診察室血圧は緊張などで上昇することも多く(白衣高血圧と言います)、家庭血圧を重視する事が多いです。少し費用はかかりますが、自宅に血圧計を購入して計測することをお勧めします。

2. 特に症状はないけど高血圧って危ないの?

 高血圧はサイレントキラー(静かなる殺人者)と言われ、自覚症状が無いにも関わらず脳や心臓の動脈硬化を促進させ、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしたり、腎臓の機能を悪化させていきます。動脈硬化や腎臓の機能の悪化が進行してから症状が出るので、症状が無い時期から治療を開始することが重要です。症状が出現した時点から治療を開始しても動脈硬化は改善しないことが多く、寿命を短くする原因となります。

3. 治療は?

高血圧

 お薬の前に重要なポイントは減塩(塩分の摂取を減らすこと)です。塩分に含まれるナトリウムは体に必要な栄養素ですが、摂りすぎるとそれを薄めようとして血液中などに水分が取り込まれるため、血液量が増えて血圧が上昇します。まずは食事中の塩分量を減らしましょう。高血圧をお持ちの方の食塩摂取量の目標は1日6g未満です。

 日本人の1日の塩分摂取量は平均9.8gですので、高い目標ですが、減塩は血圧を下げることが世界的に証明されており、まずは食事中の塩分量を減らす努力をしましょう。また、肥満のある人は体重を減らすことが大事です。野菜・果物を積極的に摂取し、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取は控えましょう。
 1日30分〜60分程度の軽い運動も効果的です。週に3回以上の運動を目安にしましょう。また、喫煙している方は必ず禁煙をしましょう。

 お薬としてよく用いられるのはCa(カルシウム)拮抗薬、アンンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬、利尿薬、β(ベータ)遮断薬等が代表的で、病態に応じて2剤、3剤併用や他の薬剤を併用します。2剤を併用した方が腎臓や脳、心臓の病気の抑制に良いという報告もあります。近年では2種類のお薬が1錠に合わさっているお薬も登場しています。
 治療の目標は上の血圧が140mmHg以下、下の血圧が90mmHg以下ですが、若い方や糖尿病や腎臓病などの合併症がある方は上の血圧が130mmHg以下、下の血圧が80mmHg以下を目標にします。

 生活習慣の改善や内服の治療を行なっても高血圧の改善が見られない場合は、血圧を上昇させるようなホルモン異常などの病気が隠れていないか調べます。(2次性高血圧

4. 自宅での血圧の測定のポイント

高血圧

 高血圧の診断や治療において、日々の血圧の状況を把握できる家庭での血圧測定がとても重要です。以下に測定のポイントをお示しします。


朝と夜に測定しましょう・・・朝は起床後1時間以内で、排尿後、お薬を飲む前、朝食前に測定しましょう。夜は就寝前に測定しましょう。可能であれば2回測定し平均値を記録しましょう。

安静にして測定しましょう・・・座って1〜2分安静後に測定しましょう。室温は20℃以上で袖はまくり、カフは心臓の高さが理想です。

③ 測定前のコーヒーやタバコは避けましょう・・・測定直前の運動や食事、カフェインの摂取直後や飲酒後、入浴直後も避けましょう。

5. 頸動脈硬化への影響

 当院では頸動脈超音波検査によって心臓と脳を繋ぐ血管の動脈硬化の状態を痛みなく測定することが可能です。高血圧が続くと動脈硬化が進み、頸動脈エコーでも首の血管の動脈硬化が観察されます。頸動脈の動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞と関連することが知られており、これらの病気の予防に測定は重要です。

6. 治療が始まったら気をつけることは?

 薬による治療が始まったからといって生活習慣の改善を怠ってはいけません。まず、治療の基本は生活習慣の改善です。
 お薬はご自分の判断で量を調整したり突然やめたりはせず、医師に相談してください。朝の血圧によってその日のお薬の量を調整する方もいますが、血圧の上下が激しくなり、かえって血管を痛めるリスクもあります。お薬の調整は必ずかかりつけの先生に相談しましょう。

 

以上高血圧について書かせて頂きました。血圧が気になる方は是非ご相談ください。

岩崎晶夫(岩崎医院 院長)

リンク:日本神経学会日本頭痛学会